悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「さあ、ここからはこの話はおしまいよ。アリス様から誰にも悟られるな、て言われているからね」
「そうね」
メイドたちがそう言いながらもこちらに近づいてくる。
私はメイドたちに見つからないようにその辺にある物陰に隠れ、メイドたちが移動し始めるとメイドたちにバレないように後を追った。
*****
メイドたちはその大きなカゴをアリスに渡すとアリスの側から離れた。
そしてアリスはその大きなカゴを持ってある扉の前に辿り着いていた。
「…」
私はアリスの死角になる場所でそんなアリスの行動を1人固唾を飲んで見守る。
きっとアリスが行く先には誰かがいる。
おそらくその誰かとはユリウスである可能性が高い。
アリスは私に見られているとはもちろん知らずに、胸元から紐で繋がれた鍵を出すと、そのままその鍵を扉に差し、扉を開けて部屋の中へと入っていった。
あの扉の向こうにユリウスがいるかもしれない。
私は急いでアリスが入っていた扉へと向かい、ドアノブに手を伸ばす。
そしてそのまま開けようとドアノブを回すが、もう扉は施錠されており、外から開けることはできなかった。
まさかこんなにもすぐに施錠するとは。
アリスはよっぽど用心深く、またこの部屋に誰も入れさせたくないらしい。