悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「…わかりました。教えていただきありがとうございます」
「いえ、また何かわからないことがあったら言ってくださいね」
そんなメイドに私は感謝の気持ちを伝え、頭を下げる。
するとメイドは私に優しく笑い、その場を離れた。
メイドの姿が見えなくなったことを確認し、私も足早にその場から離れる。
あの部屋にはアリスしか入れない。
それならばおそらく鍵もアリスしか持っていないのだろう。あの部屋に入るには扉を壊すしか方法がない。
誰かフランドルの者に会って剣を借りなければ。
私は最初こそ、早歩きでこのクラーク邸内を移動していたが、次第に焦りと共にその足の動きは速くなり、最後には必死になってクラーク邸内を走っていた。