悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜

4.やっと見つけた





早く誰かを見つけないと。
あの扉の向こうにはユリウスがいるはずだ。

クラーク邸内を必死で走り続けること数十分、私はついにフランドルの者である、ジャンの姿を見つけ、駆け寄った。



「ジャン!」

「ステラ様!」



私の姿を見つけてジャンも焦った様子でこちらに駆け寄る。



「何をしていたのですか!どれほど探したことか!公爵様との約束をお忘れになったのですか!ここでは俺と一緒に行動ですよ!」



そしてジャンは鬼の形相で私にそう怒鳴った。
こんなにも取り乱しているジャンを見るのは初めてだ。すごく怒っているようにも見えるジャンだが、その瞳には安堵もある。
私のことを今まで必死になって探していたのだろう。

私が姿をくらませた後のジャンを想像し、何だか申し訳なってきた。





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