悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
彼女の口からも血が流れており、まるでステラと同じように吐血した後のようだった。
それに彼女が着ていた服は、ステラとはサイズが違ったので、ぱっと見はわからなかったが、あれはステラが着ていたワンピースと同じだったのではないだろうか。
リタとステラは確実に鉢合わせている。
そこから2人がどんなやり取りをし、どうなったのか僕にはわからない。
ステラは最初から何故かここから離れたがっていたので、もしかしたら僕が部屋に入ってきたタイミングでどこかに隠れ、そのままリタの混乱に乗じて逃げた可能性だってある。
それでも何故か僕は2人の関係を疑わずにはいられなかった。
「ステラの部屋に血があっただろう?あれは採取した?」
「はい。何かに繋がる可能性があったので念の為に採取しております」
「さすが。有能だね、ピエール。それを調べて。できるだけ早く」
「わかりました」
僕の問いかけに簡潔に僕の望んだ答えを返すピエールに僕は満足して笑みを深める。
まだ僕の手の中には手がかりがある。
あの部屋にあった血はおそらくステラとリタ、両方のものだ。時間はかかるが魔法を使えば、2人の血を分け、分析することもできるだろう。
それができれば2人の関係性も見えてくる。