悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「話は終わりだね。ピエール。一刻の猶予も許されない、早く行って」
「はい。それでは失礼します」
僕に早くこの場から離れるように急かされて、ピエールが素早くこの場から離れる。
それから僕は本物のリタの捜索を一旦中止し、ホテルに戻ると、隊長やピエールたちとリタの捜索について改めて話し合った。
そしてその捜索にはリタだけではなく、ステラも含められることになった。
「ステラの姿もないんだね…」
「はい」
向かい側のソファに座る隊長に視線を向けると、隊長は深刻そうな表情で頷く。
隊長の横に座っているピエールも同じような顔をしていた。
ステラはおそらく吐血をしている。
最後に扉越しにステラの声を聞いた時、確かにステラが血を吐く音を僕は聞いていた。その後、さらに血の匂いがしたので、僕はステラの制止を聞かずにあの時、扉を開けたのだ。
だが、そこにはステラはおらず、代わりに血塗れのリタが立っていた。
ふと、そこまで考えて、あの時のリタのことをよく思い出してみる。