悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜




そんなセスが何故こんなにも歪み、狂ってしまったのか。

訳こそわからなかったが、そこで思考停止する訳にはいかず、私は次の言葉を口にした。



「…セスは私の味方だって誓える?」

「もちろんです。魔法を使い、命をかけた契約をしても構いません。アナタを絶対に害さない、と」



…人の足を折っているくせに何を自信満々に言っているんだ。

当然だ、と言いたげにこちらを見るセスに呆れて、思わず顔をしかめる。
全く信用ならない言葉だが、セスの中では私の両足を折ることは、私を守るための行為であって決して害しているつもりはないのだろう。
何と恐ろしい感覚なのだ。

だが、それでもセスは私の味方だと誓ってくれた。
味方としての方向性はおかしいが、それを修正すればきっと私の大きな力になってくれる…かもしれない。



「…セス、アナタが私を想って私を匿っていることはわかったよ。だからどうか私の味方として私の話を聞いて欲しい。私は自分の身を守る為に帝国外に逃げて、帝国外で生活しようと思っているの。だからセスが私の味方だというのならそれを手伝って欲しい」



どうか私の願いを聞いて欲しい、今の状況は私にとって全然プラスではないと気づいて欲しい、と祈りながらもセスを見る。
するとセスはその空色の美しい瞳をスッと細めた。




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