悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
あ。
それを見て私は本能的に自分が間違えてしまったのだと気がついた。
だが、気づいたとしても間違えた後ではもう遅い。
「ご冗談を。アナタが俺から離れて1人で生きる為の手伝いをしろだなんて。俺はアナタから離れて生きていけれないというのに」
息を呑むほど恐ろしく、美しい。
そんな彼が仄暗い瞳で私をまっすぐと見据えている。
その表情には先ほどまで浮かべていた笑顔さえもなく、無表情だ。
だが、その仄暗い瞳には様々な感情があり、私を戸惑わせた。
愛、執着、寂しさ、怒り。
様々な感情が渦巻く瞳が私を捉えて離さない。
ドロドロとした甘い視線が私に降り注ぐ。
「…セス、アナタは私がいなくても生きていける。現に今までだって…」
受け止めきれないセスからの感情に気まずくなり、セスから視線を逸らす。
「それはアナタを捕え、共にこの楽園で朽ち果てるその日を思っていたからです。だから俺は生きてこられた」
だか、それをセスは許さず、右手で私の顎を持つと無理矢理自分の方へと向かせた。