悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
2.お気に入りのお人形
「ステラ様、口を開けてください」
「…」
「ふふ、そんな顔しないで。大丈夫、今日のご飯も自信作ですよ?」
クスクスと楽しそうに笑いながら、スープの入ったスプーンをセスが私の口元へと近づける。
私はせめてもの抵抗として口を固く閉じ、抗議の視線をセスへと送るが、セスは全く違う解釈をし、その瞳を細めた。
セスの作るご飯の味を疑っているのではない。このくらい自分で食べられる、とささやかだが抵抗しているのだ。
だが、こんなことは無意味だとわかっているので、私は今日も早々に抵抗をやめ、不満げに口を開いた。
「ああ、お上手ですね。さあ、あーん」
「…」
まるで赤子のお世話でもするように嬉しそうに、そして丁寧にセスがスプーンを私の口へと運ぶ。
私はそのスプーンを不本意ながらも受け入れ、口に含むと、ごくりとスプーンの上のスープを飲んだ。
…何だこれ。
セスが私を匿うという名の監禁をし始めてからもう3日が経った。
今日の私にももちろん自由はなく、1日中ベッドの上だ。