悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜




「ロイ殿下、ユリウス様、どうか私のステラ様をお助けください。ステラ様はたった今、リタ様に命を狙われているのです」

「…な、何を言っている!リタがそんなことをする訳がないだろう!惑わされないでください!殿下!」



セスと伯爵、2人の瞳が僕を捉える。
セスの切実な瞳と伯爵の狼狽えている瞳。
どちらが本当のことを言っているのか一目瞭然だ。



「伯爵、お前が影武者として用意した女性はステラだね?そしてもう不必要になったステラを始末しようとした。その証拠がこれだよ」



僕は余裕のある笑みを浮かべ、用意しておいた証拠をまとめた書類の一部を懐から取り出す。



「これは婚約式の時に使われたリタの血判とリタ本人の血を魔法で照合したものの結果だ。これを見ればわかると思うが、婚約式の時のリタとリタは全くの別人だった」



婚約式では皇帝の元、お互いに誓約書にその場で血判を押す。
なのでその血判とリタ本人の血が違うはずがないのだ。
あの婚約式にいたリタが影武者ではない限り。



「僕はとある筋からステラの血も持っていてね?ステラの血も調べたら、婚約式の時の血判とステラの血は完全に一致していたよ。だからこそ、ステラがリタの影武者だとわかったんだ」

「…っ」



僕の言葉にいよいよ伯爵は何も言えなくなり、表情を歪ませる。




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