悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜




何故、ユリウスがここにいるのか。
何故、私がステラだとわかったのか。
私が疑問に思ったこと全て、だ。

そんな話をしていると、あっという間にセスの屋敷へと戻ってきた。



「ステラ」



先に馬から降りたユリウスが相変わらずの無表情で私に手を差し出す。
私はその手を有難く思いながらも借りて、馬からゆっくりと降りた。
それから屋敷へと足を進めようすると、ユリウスが私を「待て」と止めた。



「…?」



突然のユリウスからの制止に首を傾げながらも私はその場で止まる。
するとユリウスは何も言わずに私の両膝の後ろに手を回し、私を無言で抱き上げた。

…はい?



「ちょっ!ユリウス!?」



無言でいきなり何!?

突然のお姫様抱っこ状態に恥ずかしくなり、思わず大きな声を出し、抗議の視線をユリウスへと向ける。
だが、私にそんな視線を向けられてもユリウスはどこ吹く風だ。



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