悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
私は今大人で正直ユリウスとの距離感を測りかねている。
ユリウスはステラはステラだと言ったが、厳密には違う。
ステラ(12)とステラ(19)は同じではない。子どもと大人だ。扱いが同じな訳ないのだ。
それなのにこの無表情の仮面を被った天然は何も考えていないのか私を12歳の時と同じように扱う。
天然にもほどがある。
「ユリウス!降ろして!」
「…立っているのも辛いのだろう?そんな状態のステラを歩かせる訳ないだろう」
「じゃ、じゃあせめて車椅子!ここには車椅子があるからそれで!」
「嫌だ」
「何でよ!」
私の言うことなんて一切聞かず、スタスタと屋敷の中へとユリウスが入っていく。
私はそれでも負けじと抵抗を続けたが、それは何の意味もなさなかった。