悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜

5.結末





セスの屋敷内へ入るとすぐに、壁いっぱいの大きなステンドグラスが印象的な大広間がある。
その大広間で最初に私の目に飛び込んできた光景は騎士たちに両脇を抱えられ、俯くリタの姿だった。
リタの傍には数名の騎士以外にも、ロイやセスの姿もある。



「ステラ様!」



不本意だが、ユリウスに抱き抱えれる形でこの場に現れた私にセスはすぐに気づき、涙目でこちらへと駆け寄ってきた。



「よ、よかった…。アナタが無事で…。アナタにもしものことがあったらと思うと俺は…」



それからセスは美しい空色の瞳から大粒の涙をほろほろと流し始めた。

初めて見るセスの動揺ぶりに私は驚きながらも、何だか心が暖かくなる。

こんなにも泣けるほど私の安否を心配してくれていたなんて…。

自分がセスからどれほど大切にされていたのか、改めて知ることができ、私は嬉しくなった。





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