悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「…アナタの最期は100年後です。まだまだアナタは幸せに生きるんです。俺はそれをずっと傍で見守ります。そして最期に一緒にアナタと死ぬのが夢なんです」
「…へ、へぇ」
うるうると涙のいっぱい溜まった瞳で、まっすぐと真剣に訴えかけてきた内容の重さに私は若干笑顔を引きつらせる。
ほんの数秒前までは大切にされていたことを嬉しく感じていたが、今はその大切の感情があまりにも重すぎて、セスには申し訳ないがその重さに少々引いてしまっていた。
不安定な部分さえなくなれば変な言動もなくなると思った少し過去の私よ、考えが甘かったみたいだ。
仄暗い瞳をしなくなっただけで、ちゃんと変な言動をセスは続けている。暗い変な人から明るい変な人になったようだ、セスは。
「ステラ」
セスのクソデカ感情に苦笑いを浮かべていると、今度はセスの後ろからロイが私に話しかけてきた。
見慣れた天使のような笑顔を浮かべるロイは相変わらずで、とても美しいが何を考えているのか全くわからない。
「まずは無事でよかった」
そう言いながらも私に近づいてきたロイはふわりと笑い、優しく私の頬を撫でる。
「…会いたかったよ。ステラ」
「…」
そして嬉しそうに瞳を細め、私をじっと見つめた。
ルビーのような輝きを放つロイの瞳は甘く、まるで愛する者でも見るような目だ。