悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜




「ユリウスには妬けちゃうな。ステラといつも一緒にいられて、自分の好きなように服まで決められて。次、僕と逢瀬をする時はどうかルビー色の服を着て欲しいな?」

「嫌ですよ」

「何故?ユリウスの選んだものは着ているじゃないか」

「ユリウスとロイ様では意味が違ってきます。だから嫌なんです」



ユリウスが選ぶものはただの気分でそこに何の意味もないが、ロイが選ぶものは違う。
それこそ今、ロイが説明した通り、ロイのものだの主張する意味合いになってしまう。

私はロイと恋仲ではないし、この婚約もいつか必ず破棄するつもりだ。
私には未来の皇后は務まらないし、荷が重すぎる。恐れ多い。

本当に心底嫌そうにロイを見つめれば、ロイは全くそんな視線なんて気にせずに、天使のような慈悲深い笑みを浮かべていた。
きっと表面上だけのものだろうけど。





< 303 / 313 >

この作品をシェア

pagetop