悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「ユリウスには妬けちゃうな。ステラといつも一緒にいられて、自分の好きなように服まで決められて。次、僕と逢瀬をする時はどうかルビー色の服を着て欲しいな?」
「嫌ですよ」
「何故?ユリウスの選んだものは着ているじゃないか」
「ユリウスとロイ様では意味が違ってきます。だから嫌なんです」
ユリウスが選ぶものはただの気分でそこに何の意味もないが、ロイが選ぶものは違う。
それこそ今、ロイが説明した通り、ロイのものだの主張する意味合いになってしまう。
私はロイと恋仲ではないし、この婚約もいつか必ず破棄するつもりだ。
私には未来の皇后は務まらないし、荷が重すぎる。恐れ多い。
本当に心底嫌そうにロイを見つめれば、ロイは全くそんな視線なんて気にせずに、天使のような慈悲深い笑みを浮かべていた。
きっと表面上だけのものだろうけど。