悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「確かに僕はステラの言う通り嘘つきだよ。だけどそんな僕の本質を見抜いても、変わらずいてくれるステラが僕は愛おしい。愛しているんだ、ステラ。君のことを、心から」
「…っ」
今のロイの甘い台詞にはいつものように嘘が混じっているのかもしれない。
だが、それを感じさせないくらい、ロイは真剣だ。
さすがに甘く真剣にそんなことを言われると、私もたじたじになってしまう。
心臓がバクバク激しく跳ね、うるさい。
今の私のこの動悸をロイにだけは悟られてはならない。
きっと悟られてしまえば、これ幸いにと迫られてしまう。
「ステラ…」
何とか誤魔化そうと心を落ち着かせていると、ロイが私の名前を甘く呼んだ。
美しい天使にまっすぐ見つめられて、体温が一気に上昇する。
もう限界だ。
誰か助けてくれ!と念じたその時だった。
「お帰りの時間です、ステラ様」
私の前にセスが現れた。