悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
4.愛に溢れた日常を
ロイの甘すぎる言動にいよいよ限界がきたその時、セスが中庭の花々を背に私の前に現れた。
お昼の日差しを浴びて、セスの色素の薄い白い髪がキラキラと輝く。こちらをまっすぐ見つめる瞳は空と同じ色でとても美しかった。
私を本当に助けに来てくれたかのようなタイミングで現れた光り輝くセスに私は思った。
救世主が現れた、と。
「セス!」
ありがとう!と心の中でお礼を言いながらも、私はその場から立つ。
そして逃げるようにセスの方へと駆け寄った。
「お迎えにあがりました、ステラ様。次の予定がありますので、そろそろ帰りましょう」
「そうなのね!じゃあ行かないとね!うん!そうしよう!」
優しく私に微笑むセスに私は笑顔で力強く頷く。
それから私はすぐに自分がしでかしたことに気がついた。
…皇太子様とお茶会中なのについ安堵して、ほっぽり出してしまった。
「…ロ、ロイ様」
私は慌てて、冷静さを取り戻し、ロイの方へと体を向ける。
するとロイは私を追いかけてきたのか、私のすぐ側で微笑んでいた。
い、いつの間に…。