悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「ステラはフランドルから出ません。ステラはこの先もずっとステラ・フランドルです」
「囲うの?ステラを?ステラの幸せを願うならステラは自由であるべきだ。ステラは将来ステラ・ミラディアになるんだよ」
「違います」
「違わないよ」
…終わらない。
このまま2人を放置すると永遠に話が終わらない。
「…ユリウス、ロイ様」
2人の話を終わらせる為に、仕方なく私は口を開く。
それから2人のことをまっすぐと見据えた。
「まずはユリウス。私がいつまでもフランドルな訳ないでしょ?いつかは結婚するからね。それからロイ様。その結婚相手は間違いなくアナタではありません。2人ともわかりましたか?」
「「…」」
私の言った言葉をユリウスとロイは無言で受け止め、何か言いたげな視線を私に送ってきたが、私はそんな2人を無視することにした。
これ以上2人に付き合うと次の予定に遅れてしまう。
「セス、行くよ」
「はい、ステラ」
私は私の一歩後ろで控えていたセスに声をかけ、馬車へと乗る。
そして座り心地の良い椅子へと腰掛けると、何となく扉の方へと視線を向けた。
するとそこには扉の枠に手をかけ、こちらを見つめる美しい顔が2つ並んでいた。
…ユリウスとロイだ。