悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜




「ステラはフランドルから出ません。ステラはこの先もずっとステラ・フランドルです」

「囲うの?ステラを?ステラの幸せを願うならステラは自由であるべきだ。ステラは将来ステラ・ミラディアになるんだよ」

「違います」

「違わないよ」



…終わらない。
このまま2人を放置すると永遠に話が終わらない。



「…ユリウス、ロイ様」



2人の話を終わらせる為に、仕方なく私は口を開く。
それから2人のことをまっすぐと見据えた。



「まずはユリウス。私がいつまでもフランドルな訳ないでしょ?いつかは結婚するからね。それからロイ様。その結婚相手は間違いなくアナタではありません。2人ともわかりましたか?」

「「…」」



私の言った言葉をユリウスとロイは無言で受け止め、何か言いたげな視線を私に送ってきたが、私はそんな2人を無視することにした。
これ以上2人に付き合うと次の予定に遅れてしまう。



「セス、行くよ」

「はい、ステラ」



私は私の一歩後ろで控えていたセスに声をかけ、馬車へと乗る。
そして座り心地の良い椅子へと腰掛けると、何となく扉の方へと視線を向けた。
するとそこには扉の枠に手をかけ、こちらを見つめる美しい顔が2つ並んでいた。

…ユリウスとロイだ。




< 310 / 313 >

この作品をシェア

pagetop