悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「何をしている」
冷たくて無愛想な声。
ユリウスの声だ。
今は学院の時間だというのにこの男はまたここに来たのか。
「…驚かさないでよ。ライアス先生が来たと思ったじゃん」
大きくため息をつきながら後ろを振り向けば、声の主、ユリウスが冷たい表情でこちらを見ていた。
相変わらずの鉄仮面だ。
「ライアスは来ない」
「…何で?風邪?」
「いや、お前に別の予定ができたからだ」
別の予定?
ユリウスの言葉の意味がわからず、首を傾げる。
「花祭りに行くぞ」
そんな私にユリウスは淡々とそう言った。