悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「ねぇ、ユリウス」
私は脱出の為に考えていたある計画を実行する為に甘えるようにユリウスを見た。
私を妹だというのなら思う存分その妹パワーを使わせてもらおう。
「私、街に買い物に行きたいなぁ」
「そうか。いつがいい?俺も行こう」
私のお願いにユリウスがすぐに冷たい表情のまま頷く。
かかった。やはり妹のお願いは聞きたいらしい。
「えっと来週の水曜日なんだけど…」
「何?」
私が指定した日付にユリウスが片眉を上げる。
それもそうだろう。
来週の水曜日は月に一度の騎士団合同鍛錬の日だ。
その日の鍛錬は朝から夕方まで行われ、宮殿所属の騎士団の者たちは特別な理由がない限り全員参加が義務付けられている。
しかも来週の騎士団合同鍛錬後には騎士団の騎士全員参加の会食会という名の飲み会まであるそうだ。
そんなものがある日にユリウスが私のところへ来れるはずがない。
私はユリウスが絶対に私の買い物について来れないようにこの日を指名していた。
「他の日はないのか?」
「うーん。直近だとこの日以外空いていなくて…。どの日にも予定があるから…」
その予定を上手いこと入れたのも私である。
困ったようにユリウスを見ればユリウスは1人ただ黙ってまた何かを考えていた。
無理だよ、無理無理。ユリウスは私についていけないんだよー。
1ヶ月もかけて調べて調整したんだよ。ちょっとやそっとじゃあどうにもならないぞ。