悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「…はぁ」
「お疲れですか!ジャン!」
「ああ」
この状況にため息をつくとメアリーは大慌てでジャンを見た。ジャンは淡々とメアリーに返事をして私に近づく。
「失礼します。ステラ様」
「え…って、わぁ!?」
気がつくと私はジャンに何故かお姫様抱っこされていた。
「ななななんで!?」
恥ずかしくてジャンの腕の中でジタバタと暴れてみるが、ジャンはびくともしない。
屈強すぎる!
「それは当然!ステラ様がお疲れになっていたからです!さあ、ステラ様!次はどちらに行きますか!?」
暴れる私に答えたのは何故かメアリーだ。
私をお姫様抱っこをしている張本人は無言だというのに。
いや!このまま移動するの!?
「つ、疲れていないよ!私!元気だから!だから降ろして!」
「いえ!ステラ様はお疲れです!もう一時間も街を歩いているのですよ!?疲れない方がおかしいです!」
「一時間くらいじゃ疲れないし、そもそもずっと歩き続けている訳じゃないよ!?」
私は自分で歩けもしない赤ちゃんじゃないんだから!
「疲れます!お認めください!」
「疲れないよー!」
私とメアリーの言い争いに挟まれてしまったジャンはその大きな体をオロオロさせて私たちを交互に見ていたが、私を降ろそうとはしなかった。
なんでよ!