悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜





「ステラ!」



何故か遠くの方からロイに声をかけられてしまいそれは叶わなかった。
結構距離があったはずなのに何でバレたのだろうか。



「…こ、こんにちは」



この帝国の皇太子様を無視することはできず、その場に止まって気まずそうにロイに私は頭を下げる。



「こんにちは。こんなところで会うなんて奇遇だね」



するとロイは何故かそれはそれは上機嫌に笑顔で私の方へ歩み寄ってきた。

こ、こっちに来てしまった。
これでは挨拶だけして逃げることも叶わないではないか。



「ここには何をしに来たのかな?買い物かい?」

「…はい。そんなところです」

「そう。文房具屋から出てきたね。何を買ったのかな?」

「…えっと」



最初からわかっていたんですか。

まさかの最初からロイに気づかれていたことに心の中で頭を抱える。
この皇太子、本当に視野が広すぎる。
もし皇太子じゃなかったら、暗殺者とかスパイとかその辺の職業で天下を取れる気がする。
そもそも何で私の買った物に興味なんてあるのか。




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