悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜





「ペンとノートとあとユリウスに万年筆を買いました」

「ユリウスに?」

「はい」



気まずそうに笑いながらもロイに答えた私にロイが何故か一瞬だけ、冷たい笑顔を向ける。
だが、それはほんの一瞬ですぐにいつもの胡散臭い天使の笑顔に戻っていた。
一瞬だったのであの冷たさは見間違いだった可能性もある。



「ステラ、今時間はあるかな?よかったらそこのカフェでお茶でもどう?」

「…」



お断りしたい。
にこやかに何故かお茶のお誘いをするこの皇太子様からのお誘いをお断りしたい。
少しでも関わりを持ちたくない。



「…ごめんなさい。私、これから授業があるんです。だからもう帰らないと」



私は本当に言いにくそうにそう言って眉を下げた。とにかく残念そうに見せるために。

もちろん授業なんてない。これも穏便にお誘いをお断りする為の嘘だ。
このくらいいいだろう。



「へぇ」



申し訳なさそうにロイを見つめ続けていると、ロイは意味深に笑ってその視線を私ではなく、メアリーに向けた。
何故、メアリーを見るのか疑問に思ったが、その答えはすぐにわかった。




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