悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜





「…きょ、今日の授業は先ほどなくなりました!ステラ様に今後のご予定はございません!」



ビシッと背筋を伸ばしてメアリーがロイにとんでもないことを言ってしまう。
ロイはメアリーに圧をかけてメアリーを自白させたのだ。
幸い、メアリーは優秀なので私が嘘をついているとは言わず、〝予定がなくなった〟と言ってくれた。

私では取り付く島もないからとメアリーに圧をかけるとは。この腹黒皇太子は私が嘘をついていると最初からわかってメアリーに圧をかけたのだ。
何と性格の悪い。



「…ステラの予定はなくなったんだって。だから僕とお茶くらいできるよね?」

「…はい」



にっこりとこの予定調和な展開に満足げに笑うロイに私は力なく返事をした。

ああ、なるべくステラとしてロイに関わりたくないのに!



*****



そもそもこの人は今こんなことをしていていいのだろうか。

私の目の前で優雅にお茶を飲んでいるこの男は先ほどまで〝例の誰か〟を探していた。
仕事中のはずなのだ。



「…ロイ様はお仕事中だったんですよね。こんなことしていて大丈夫なのですか」



お忙しい中ならさっさとそのお茶を飲み干してこの意味のわからないお茶会もやめてしまいましょうね。

と、思いながら心配そうにロイを見ると、ロイは私に余裕のある美しい笑みを向けていた。





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