悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
2.ロイの助け
皇帝陛下に挨拶を済ませた後、私は私に用意されたなかなかいい部屋に一旦戻り、3日間の荷物を手早く片付けた。
そして片付けを終えると私は一応用心して顔の半分を布で隠し、この宮殿内にある図書館へ向かった。
明日の舞の参考にする資料を探す為だ。
「んー」
早速やってきた図書館で目の前にずらりと並ぶ本を私は1人睨みつける。
舞関連の本がたくさん置かれているここへはリタの代役時代にこの図書館に通い詰めていたおかげですぐに来ることができた。
だが多すぎてどれを手に取ればいいのかわからない。
ここは帝国一の蔵書を誇る場所だ。
舞の本といっても古いものから新しいもの、また流派や歴史などなどざっと見ただけでも様々なものがある。
「…とりあえずあれかな」
本棚の上の方を見て私は呟く。
そこには〝舞の基礎〟と書かれた本が置かれていた。
さすがにあそこまでは手が届かないかな?
でもギリギリ届きそうだし…。
少々悩んだが、やるだけやって無理なら誰かに頼もうと、私は両つま先を目一杯立て、本棚に左手を突き、右手をぐーっと伸ばし、何とか自分で本を取ろうとする。
「ゔぅ…」
あ、あと、少し。
もう触れられそうなので諦めることなく、一生懸命指先を伸ばし続けると、やっとその指先が本に触れた。
私はそのまま指先を本にかけ、グッと外に引っ張る。