悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「やった…」
そして私はついに本を取ることに成功した。
したのだが。
「あ」
ぐらりと本を取った勢いそのままに体が後ろに倒れる。
「…っ」
強い衝撃に備えてギュッと目をつぶったが、私の体に強い衝撃が加わることはなかった。
後ろにいる誰が私の体を支えていたからだ。
「大丈夫?ステラ?」
「…っ!!!!」
私を支えているロイが心配そうに私に微笑む。
私はそんなロイを見て声にならない悲鳴をあげた。
ななな!何で!ロイがここにいるの!?
天井のステンドグラスから指す光がロイの色素の薄い金色の髪に当たり、キラキラとロイの髪を輝かす。
まるで天使のようなこの男に私は今度は息を呑んだ。
腹黒皇太子だと知らなければきっと私もリタのようにこの男に夢中になっていたことだろう。