悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「やあ」
爽やかに微笑み、ロイが当然のように部屋へ入ってくるのを私は信じられないものでもみるような目で見てしまう。
仕事があると言っていませんでしたか?
お忙しいのでは?
「…何しに来たんですか」
突然のロイの訪問を不審に思い、つい疑いの目をロイに向ける。
つい先ほどは助けてもらったが、この男がそう何度も無償で助けてくれるとは思えない。邪魔をしに来た可能性だってある。
「うーん。邪魔をしに来た、かな?」
にっこりと悪戯っぽく笑うロイに私は心の中で叫んだ。
やっぱり!!!!邪魔しに来やがった!!
「帰ってください」
こちらにやって来たロイの背中をグイグイ押して部屋から私はロイを追い出そうとする。
こちとらこれから舞の練習をしなければならないのだ。ロイの相手をしている暇などない。
一生懸命ロイをこの部屋から何とか追い出そうとしたがロイは「あはは、そんな可愛らしい力で押されても」と愉快そうに笑って、しまいには私をギュッと抱きしめてきた。
何がしたいんだ、コイツ。