冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
【星影台強盗傷害事件、加害者家族の末路――。受刑者の妻はショックで病死!?残された姉弟を待つ地獄】
内容まで読む気にはなれなくて、すぐにページを閉じた。
有罪判決を受けた村雨奏二本人はまだしも、その妻と子どもにはなんの罪もないのに、どうしてこうした記事が出回ってしまうのだろう。
その地獄を作り出しているのは、こうしてプライベートを嗅ぎまわっては騒ぎ立てるマスコミではないのか?
加害者を正しく罰し、罪を償わせる。そのために検事になったものの、世間には法律の目をかいくぐるようにして他者の権利を侵す事案も多く、時折無力感にとらわれる。
世の中のすべての犯罪、それを起こした罪人全員を裁ければいいが、数が多すぎるために叶わない現実にも、葛藤を覚える。
だからといって、俺が思い描く理想の正義、真実の追求をあきらめるつもりは毛頭ない。
まだ至らぬところばかりだが、地道に一つひとつ、向き合っていくしかない。
ふう、と息をついたところで、目的地で電車を降りる。店の名前を地図アプリに入力し、ナビに従って歩みを進めた。