冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
【星影台強盗傷害事件、加害者家族の末路――。受刑者の妻はショックで病死!? 残された姉弟を待つ地獄】
以前ネットでこの見出しを目にした時、記者の勝手な主観や面白おかしく書いてやろうという脚色が混じっているとは理解しつつも、琴里、そして弓弦くん姉弟の生活が幸福でないことはある程度事実なのだろうと思っていた。
しかし、実際彼女たちと接していると、姉弟で支え合いながら逞しく生きていることが伺えた。
いつか自分たちの父親、村雨奏二の再審を叶え、無実を証明するという目標があるから、強くいられるのかもしれない。
あの事件については俺も怪しいと踏んでいて、目指している結末も琴里たちとほとんど同じだろう。
だからといって彼女にこちらが持っている情報を渡すことはできないし、検察の抱える闇を晴らすのはその内部にいる人間の役目だ。彼女を巻き込むわけにはいかない。
だが、琴里はおそらく同じ考えではないだろう。自分や家族の手で直接父親を助けたいと思っているし、検事である俺のことは元々信用していない。
あの事件について教えてくれと頼んでもかたくなに拒むのは、俺を敵だと認識している証拠だ。