氷上のキセキ Vol.1 ~リンクに咲かせるふたりの桜~【書籍化】
14歳の春、はかない桜
あなたのいない春。
私はひとり、満開の桜の木を見上げていた。
去年はこの桜の下で、あなたと笑っていたよね。
その前の年も、前の前の年も……。
もう何年も、あなたと一緒に春を過ごしてきた。
ひらひらと舞い落ちる桜の花びらを、競い合ってキャッチしたよね。
簡単そうで、難しくて。
何度やってもパチンと合わせた手のひらに、私は花びらをつかめなくて。
でもあなたはたった一度で、いともたやすく手の中に花びらを閉じ込めた。
「ほら」
そう言って私に見せたあなたの笑顔が、今も目に焼きついて離れない。
「……晶」
声に出して呟いた時、こらえていた涙がじわりと込み上げてきた。
どこにいるの?
なぜなにも言わずにいなくなったの?
このままずっと会えないの?
どうしたらまた会える?
「……会いたい」
ポタポタと涙がこぼれ落ちる。
その時、後ろから誰かの足音が聞こえてきて、私は急いで涙を拭った。
私はひとり、満開の桜の木を見上げていた。
去年はこの桜の下で、あなたと笑っていたよね。
その前の年も、前の前の年も……。
もう何年も、あなたと一緒に春を過ごしてきた。
ひらひらと舞い落ちる桜の花びらを、競い合ってキャッチしたよね。
簡単そうで、難しくて。
何度やってもパチンと合わせた手のひらに、私は花びらをつかめなくて。
でもあなたはたった一度で、いともたやすく手の中に花びらを閉じ込めた。
「ほら」
そう言って私に見せたあなたの笑顔が、今も目に焼きついて離れない。
「……晶」
声に出して呟いた時、こらえていた涙がじわりと込み上げてきた。
どこにいるの?
なぜなにも言わずにいなくなったの?
このままずっと会えないの?
どうしたらまた会える?
「……会いたい」
ポタポタと涙がこぼれ落ちる。
その時、後ろから誰かの足音が聞こえてきて、私は急いで涙を拭った。