氷上のキセキ Vol.1 ~リンクに咲かせるふたりの桜~【書籍化】
ーー全日本フィギュアスケートジュニア選手権大会 第3位ーー

やり切った私は、まるでごほうびのように表彰台に乗ることができた。
けれど、 世界ジュニアフィギュアスケート選手権大会の選考では選ばれなかった。
ケガで本調子ではなかった4位の選手が、ISUジュニアグランプリファイナル出場者で、なおかつシーズンベストスコアが2位だったからだ。
私ではなく、1つ下の順位のその子が選出された。

晴也先生と真紀先生は悔しそうだったけど、私にはなんの悔いもない。
全日本に挑戦してよかった。
私は改めてふたりにお礼を言った。

お父さんもお母さんも、私よりも興奮して感激していた。
お母さんは目に涙を浮かべて私を抱きしめ、さすがの私もその時ばかりはグッときた。

晶は私のスケートを見てくれたのかな?
わからないけど、私は幸せだった。
リンクで私たちの桜が咲いたのを感じたから。

しばらくはボーッとした日を過ごし、冬休みに入ると受験のふた文字がのしかかる。
周りのみんなは既に志望校を決めて、ぐんぐん成績を上げていた。

かなり出遅れたけど、集中力ならスケートでつちかった。
私は一旦スケートから離れて、受験勉強に専念する。

そしてなんとか第1志望の高校にギリギリで合格した。
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