氷上のキセキ Vol.1 ~リンクに咲かせるふたりの桜~【書籍化】
15歳の春、再会
「うおー、おめでとう! 結もついに女子高生か。制服、似合ってるぞ」
4月の入学式のあと、制服姿でリンクに現れた私に、晴也先生は感慨深く目を細めた。
「結、外で写真撮ろう」
先生に誘われて、満開の桜の下で写真を撮る。
「今年もきれいに咲いたな」
「そうですね」
「早いもんだな、結がもう高校生か」
「自分でも信じられないです。よく受かったな、私」
「ははは! まあ俺は、結が本気出したらいけると思ってたけどな。おっと、レッスンの時間だ。先に戻ってるぞ」
背を向けた先生を「はーい」と見送った私は、風になびく髪を押さえて桜の木を見上げた。
ひらひらと花びらが舞い落ちてきて、思わずパチンと手を合わせる。
そっと開いてみると、やっぱり手の中は空っぽだった。
(なんでこんなに難しいんだろう?)
そう思いながら何度もジャンプしてみるけれど、どんなに狙いを定めても花びらはつかめない。
パチン、パチンとむなしく響く音に、だんだん手のひらが痛くなってきた時だった。
パチン!
すぐ後ろで音がして、私は振り返る。
「ほら」
桜吹雪の中、そう言って手のひらに載せた花びらを差し出したのは、紛れもなく晶だった。
4月の入学式のあと、制服姿でリンクに現れた私に、晴也先生は感慨深く目を細めた。
「結、外で写真撮ろう」
先生に誘われて、満開の桜の下で写真を撮る。
「今年もきれいに咲いたな」
「そうですね」
「早いもんだな、結がもう高校生か」
「自分でも信じられないです。よく受かったな、私」
「ははは! まあ俺は、結が本気出したらいけると思ってたけどな。おっと、レッスンの時間だ。先に戻ってるぞ」
背を向けた先生を「はーい」と見送った私は、風になびく髪を押さえて桜の木を見上げた。
ひらひらと花びらが舞い落ちてきて、思わずパチンと手を合わせる。
そっと開いてみると、やっぱり手の中は空っぽだった。
(なんでこんなに難しいんだろう?)
そう思いながら何度もジャンプしてみるけれど、どんなに狙いを定めても花びらはつかめない。
パチン、パチンとむなしく響く音に、だんだん手のひらが痛くなってきた時だった。
パチン!
すぐ後ろで音がして、私は振り返る。
「ほら」
桜吹雪の中、そう言って手のひらに載せた花びらを差し出したのは、紛れもなく晶だった。