ふたりだけのオーキッド・ラグーン
 その胡蝶蘭のアレンジメントにメッセージカードが添えられていて、こんなお祝いの言葉が綴られていた。

 ――Congratulations on your marriage! Wishing you elegance and strength ahead.

 一本の茎からたくさんの花が並んで咲く姿は立派なもので、気高くて誇らしげである。胡蝶蘭とはよくいったもので、遠目にみれば本当に蝶が飛んでるかのよう。
 一つ一つの花びらがとても大きい。濁りのない白は潔く、瑞々しく咲いている。メッセージカードの文句そのまんまの美しい花であった。



 
 昼過ぎにコンシェルジュがやってきたらしい、いつの間にかケータリングが届けられていた。
 ランチは茶粥と点心、中華メニューである。アジア圏内の都市であるシンガポールだと食生活の不安は小さい。だけど、米が食べれるのは何だか嬉しい。

 そのランチを食べながら、真紘はシンガポールの生活ガイドブックを改めてみた。
 ガイドブックの表紙にはおなじみのシンガポールの街並みの写真があり、その横に小さく蘭の花のイラストがついている。

 あれと思って国の紹介文のところをみれば、なんと蘭はシンガポールの国花であった。
 ああ、それで鎌田さんは蘭の花を送ってきてくれたんだと、真紘は納得したのであった。

 新婚生活をはじめる処の国花の花びらで、その花びら越しにキスをもらった真紘としてはくすぐったい気分となる。

 瑠樹さんは気づいていたのかしら?

 夫が戻ったら、このことを訊いてみようと真紘は思うのであった。
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