一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
1・7年越しの再会は、カフェ宇多見で
彼が私の名を呼ぶ姿は、昨日のことのように思い出せる。
『星奈さん』
ーー忘れられるはずが、なかった。
あの人は腹違いの妹。
宇多見 陽日さんが言い寄ったあとも、彼女に靡くことなく。
唯一、私の名前を呼び続けてくれた異性だったから。
『私の名前を、呼ばないでください』
本当は彼に、名前を呼ばれるのが好きだった。
あなたにならば何度だって、私の名を口ずさんでほしかった。
叶うことなら、想いを通じ合わせてみたかった。
『俺が好きなのは……』
『私はあなたのことなんて、大嫌いです。もう二度と、私に話しかけないでください……!』
ーーそんな私のささやかな願いを成就させる最後のチャンスが、高校の卒業式で神様から与えられたのにーー。
本心とは真逆の言葉を口にして、あの人を傷つけた。
妹に愛する人を奪われるのが怖くて、彼の想いから逃げたのだ。
ーーわたしはずっと、あの日のことを後悔している。
『星奈さん』
ーー忘れられるはずが、なかった。
あの人は腹違いの妹。
宇多見 陽日さんが言い寄ったあとも、彼女に靡くことなく。
唯一、私の名前を呼び続けてくれた異性だったから。
『私の名前を、呼ばないでください』
本当は彼に、名前を呼ばれるのが好きだった。
あなたにならば何度だって、私の名を口ずさんでほしかった。
叶うことなら、想いを通じ合わせてみたかった。
『俺が好きなのは……』
『私はあなたのことなんて、大嫌いです。もう二度と、私に話しかけないでください……!』
ーーそんな私のささやかな願いを成就させる最後のチャンスが、高校の卒業式で神様から与えられたのにーー。
本心とは真逆の言葉を口にして、あの人を傷つけた。
妹に愛する人を奪われるのが怖くて、彼の想いから逃げたのだ。
ーーわたしはずっと、あの日のことを後悔している。