一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
 もしも、もっと大規模な火災現場で彼が救助活動に当たったら……。
 生きて帰ってくる保障がないことに、気づいてしまったからだ。

「関宮先輩は私に、いなくならないでほしいと言いましたけど……」
「星奈さん? どうしたの?」
「ご自身の心配をしたほうが、いいと思います」
「俺? なんで?」
「私よりもよっぽど危険な場所で、お仕事をしているではありませんか」
「……もしかして、心配してくれた?」

 関宮先輩は不思議そうに、私へ問いかける。
 どうやら、信じられない気持ちでいっぱいのようだ。

 ーー半信半疑なんて、酷い。

 それを言葉に出せば、瞳から堪えていた涙が零れ落ちてしまいそうでーー。
 私がじっと黙っていれば、彼は抱きしめる腕の力を強めた。

「すごく嬉しい。心の底から俺を拒絶しているわけじゃないってわかって、ほっとした」
「私だって、心配くらいします。関宮先輩は、命の恩人ですから……」 

 背中からはポカポカと、暖かなぬくもりが伝わってくる。
 それを一生感じていたいと感じる自分がいるのに、見ないふりをしながら。
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