一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む

5・火事の事後処理、姉妹喧嘩

――火事の日から五日目の今日は、関宮先輩のお仕事がお休みの日。

　彼とともに火災後の事務処理を淡々とこなせる、絶好の各種手続き日和なのだ。

「連続呼称」

　関宮先輩とともに消防署へやってきた私は、コショウ、コショウ、コショウと何度も繰り返すやる気のない野太い声を耳にした。

　粗挽きコショウを料理にまぶしている彼の姿を思い浮かべた私は、絶対に違うよなぁとその幻想をかき消す。

　その声のした方向へ視線を移せば、オレンジの作業着を身に着けた団体が敷地の中をぐるぐると周りランニングしていた。

「そーれ」
「イチッ」
「そーれ」
「ニッ」

　聞いたことのない独特なかけ声を上げながら走る消防隊員を、興味深そうに遠くから見守っていると……。
　関宮先輩が、その様子を解説してくれる。