一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「星奈さん、聞いたことない? 運動部がよくグランドを走る時、叫んでいるの」
「ファイ、オー。とかであれば……耳にしたことはありますが……。コショウはないです……」
「ああ……。料理の方を思い浮かべているなら、意味分かんないよね。あれ、連続呼称の略。先頭の人に続けて、単語を繰り返せってこと」
「なるほど……」
やはり私の、勘違いだったようだ。
消防署の近くでひたすら、コショウをまぶす練習をしているわけではなかった。
恥ずかしくなって下を向けば、関宮先輩は私に優しい言葉をかけてくれる。
「聞き慣れない単語だと、自分の身近なものに置き換えちゃうよね。普段厨房に籠もって黙々と料理を作っている、星奈さんらしいよ」
「そう、でしょうか……」
「うん。すごくかわいい」
こうやって隙を見せるたびに、距離を詰めようとしてくるからこそ。
油断ならない。
いくら妹が近くにいないとしても、気を抜くわけにはいかなかった。
私はすぐさま嬉しい気持ちを表に出さないようにぐっと唇を噛みしめて堪らえ、暗い表情で俯いた。
「ファイ、オー。とかであれば……耳にしたことはありますが……。コショウはないです……」
「ああ……。料理の方を思い浮かべているなら、意味分かんないよね。あれ、連続呼称の略。先頭の人に続けて、単語を繰り返せってこと」
「なるほど……」
やはり私の、勘違いだったようだ。
消防署の近くでひたすら、コショウをまぶす練習をしているわけではなかった。
恥ずかしくなって下を向けば、関宮先輩は私に優しい言葉をかけてくれる。
「聞き慣れない単語だと、自分の身近なものに置き換えちゃうよね。普段厨房に籠もって黙々と料理を作っている、星奈さんらしいよ」
「そう、でしょうか……」
「うん。すごくかわいい」
こうやって隙を見せるたびに、距離を詰めようとしてくるからこそ。
油断ならない。
いくら妹が近くにいないとしても、気を抜くわけにはいかなかった。
私はすぐさま嬉しい気持ちを表に出さないようにぐっと唇を噛みしめて堪らえ、暗い表情で俯いた。