一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「星奈さんは家を失った翌日も、店で働いてたよ」
「な、なんの話? あたし、よくわかんない……!」
「あんたはあの店の、店主なのにね? まともに働いてるのは、いつだって星奈さんだけだ」
「て、店長って、そう言うものでしょ? お手伝いさんに全部任せて店が回るなら、それでいいじゃない!」
「だったら。星奈さんが辞めても、なんの問題もないよね?」
ーー関宮先輩は、気づいている。
妹が私に仕事を押しつけて、楽をしていることを。
ちょうどいい機会だからと敵意をむき出しにして饒舌に語る彼が恐ろしく感じると同時に、なんて頼りがいのある人なのだろうかと感動したのも確かでーー。
当事者であるはずの私は蚊帳の外に追いやられ、荒い息を吐き出しながら関宮先輩の背を強く握り締めていることしかできない。
いい年をした大人なのに。
なんて情けないのだろう。
この程度の主張すらも、自分で満足に伝えられないなんて。
だからいいように使われてしまうのだ。
ーーわかっている。
私が全部、悪いって。
「な、なんの話? あたし、よくわかんない……!」
「あんたはあの店の、店主なのにね? まともに働いてるのは、いつだって星奈さんだけだ」
「て、店長って、そう言うものでしょ? お手伝いさんに全部任せて店が回るなら、それでいいじゃない!」
「だったら。星奈さんが辞めても、なんの問題もないよね?」
ーー関宮先輩は、気づいている。
妹が私に仕事を押しつけて、楽をしていることを。
ちょうどいい機会だからと敵意をむき出しにして饒舌に語る彼が恐ろしく感じると同時に、なんて頼りがいのある人なのだろうかと感動したのも確かでーー。
当事者であるはずの私は蚊帳の外に追いやられ、荒い息を吐き出しながら関宮先輩の背を強く握り締めていることしかできない。
いい年をした大人なのに。
なんて情けないのだろう。
この程度の主張すらも、自分で満足に伝えられないなんて。
だからいいように使われてしまうのだ。
ーーわかっている。
私が全部、悪いって。