一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「これはあたし達、姉妹の問題なんだから! 香月は引っ込んでてよ!」
「それ、やめてくれる。あんたに俺の名前を呼ばれるたびに、苛立って仕方ないんだけど」
「こーんなにかわいい女の子が、冴えない男の名前を呼んであげてるのに! 喜ぶどころか嫌悪するなんて、そんなことある!?」
「キーキー喚くな、性格ブス。ほんと目障り。さっさと消えて」
「な……っ!」

 関宮先輩が辛辣な言葉を妹に投げかければ。
 顔を真っ赤にした陽日さんが、私を鬼の形相で睨みつける。

『あたしの悪口を言ったのね! 絶対、許さないんだから!』

 彼が私を背中に庇っていなければ、今頃そんな言葉とともに平手打ちが飛んできていたはずだ。
 私が言葉のナイフで傷つけられるだけで済んでいるのは、関宮先輩のおかげだった。

「筋肉と高身長しか、取り柄がないくせに!」

 妹の叫び声を耳にした私は、頭の中でぷつんと理性が切れる音を耳にした。

 ーー筋肉と高身長しか取り柄がないなんて、とんでもない。
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