一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「憎いと思う、なんて。姉として、最低ですよね……」
「俺は星奈さんがあの女にそう思うのは、当然だと思うけど」
「そんなこと、ありません……!」

 一度抑えていた気持ちが溢れ出したら、止まらない。
 私は勢いよく、妹に対する醜い感情をぶちまけた。

「私には、なんの取り柄もなくて! 生まれてはいけない人間だったから!」
「それは違うよ」
「だったらどうして……! あの子は望んだものが、手に入るんですか!?」
「あいつが星奈さんを、都合のいい道具扱いしているからでしょ」
「あの子の言いなりになるのを辞めたら、私は何もかもを手に入れられるのですか!?」
「そうだよ」
「一体、なんの根拠があって……!」
「星奈さんだって、わかってるよね。ただ君は、見てみぬふりをしているだけだ」

 口に出すのも憚られるほどおぞましい感情が、関宮先輩を食らいつくそうと心の中で暴れ回っている。

 ーーこんな醜い自分の姿を、見せたいわけじゃなかった。
 彼にだけは、知られてはいけなかったのに……!

「ごめんなさい……っ」

 もう、終わりだ。

 ここもそう遠くない未来に追い出される。
 関宮先輩と、ずっと一緒にはいられない。
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