一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
ティーカップの中に注がれた紅茶へ口をつけることなく乱暴にテーブルの上に置けば、茶色い液体が零れて真っ白なテーブルクロスに染みを作る。
「待って」
逃げ出そうとした私が立ったまま倒れたカップを見つめてその場に硬直していれば、関宮先輩が私の指先に自らの手を絡めた。
「私は、最低な人間です! 関宮先輩のそばにいる資格なんて……っ!」
「あるよ」
離れないように、強く。
そこから伝わる熱が、私の中で燻る憎悪を勢いよく燃やして灰にした。
「俺は何があっても、星奈さんを離さないよ」
「だって……。私は、関宮先輩のこと……」
「うん」
――本当に、これを伝えて大丈夫?
彼を傷つける羽目にならない?
何度も逡巡しながら、唇を閉じては開いてを繰り返していればーー関宮先輩がまっすぐ、私を見つめた。
まるで心配いらないと、安心させるように。
その視線に後押しされた私はーーか細い声で、その言葉を口にした。
「待って」
逃げ出そうとした私が立ったまま倒れたカップを見つめてその場に硬直していれば、関宮先輩が私の指先に自らの手を絡めた。
「私は、最低な人間です! 関宮先輩のそばにいる資格なんて……っ!」
「あるよ」
離れないように、強く。
そこから伝わる熱が、私の中で燻る憎悪を勢いよく燃やして灰にした。
「俺は何があっても、星奈さんを離さないよ」
「だって……。私は、関宮先輩のこと……」
「うん」
――本当に、これを伝えて大丈夫?
彼を傷つける羽目にならない?
何度も逡巡しながら、唇を閉じては開いてを繰り返していればーー関宮先輩がまっすぐ、私を見つめた。
まるで心配いらないと、安心させるように。
その視線に後押しされた私はーーか細い声で、その言葉を口にした。