一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
6・天ぷら火災にご用心
 ーー関宮先輩に、妹に対する醜い気持ちを打ち明けてしまった……。

 自己嫌悪に駆られた私は逃げるように、関宮先輩の自宅をあとにする。

『星奈さんが辞めても、なんの問題もないよね』

 ーーずっと言えなかった言葉は、私の代わりに彼が伝えてくれた。

 このまま彼に任せた方が簡単にあの子と縁を切れると、わかっているけれど。
 全部任せきりにしたまま妹と関係を終わらせたら、一生モヤモヤしたまま暮らすことになる。
 それだけは、絶対に嫌だから。

 せっかく彼がスパイクを打ちやすいように、アシストしてくれたのだ。

 この絶好の機会を、逃すわけには行かない。
 勢いよく飛び上がって右手を大きく振り、渾身の一撃を放つんだ……! 

『仕事を辞めてきます』

 自分がバレーボールの選手になってサーブを綺麗に決める姿を思い浮かべた私は、リビングテーブルの上にに関宮先輩宛の置き手紙を残してから、カフェに向かった。

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