一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む

 カフェに到着した私は裏口の従業員通路から店内に入るためにドアノブを捻ったが、内側から鍵がかけられていて開かなかった。

 ーー正面入口には、“OPEN”のプレートが立て掛けられている。

 陽日さんがいるのは明らかなのに、なぜ施錠されたままなのだろうか。
 そう疑問を懐きながら合鍵を使って裏口の鍵を解錠し、中の様子を覗うように扉を開けた。

「カツサンド、お願いできるかな?」
「ご、ごめんなさーい! 今日は、ドリンクだけの提供でぇ……っ。軽食は休止中なんですぅ」
「え、そうなの?」
「はい……っ」

 店内にはすでに、常連客の姿がある。

 昨日あんなことがあったから、私が出勤してくるわけがないと彼女なりに策を練った結果なのだろう。

 自分一人で店を切り盛りできると啖呵を切った以上、陽日さんがお客様に提供できるものは、ドリンクしかないのだから……。
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