一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「お待たせしましたー!」
「ああ、ありがとう」
そう言うことだと納得すれば、陽日さんが常連客にコーヒーを提供してこちらに戻ってきた。
彼女は先程までの作り笑顔が嘘のように目頭を釣り上げると、普段と変わらぬ口調で宣言する。
「お姉に香月はもったいないから、あたしにちょうだい!」
ーー天使のふりをした悪魔は、私の愛するべき人を欲した。
彼は人形ではない。
意思のある人間だ。
私が許可を出したところで、関宮先輩にその気がなければ妹の所有物にはならない。
そんな当たり前なことすらわからぬほどに。彼女は残念ながら、頭の出来があまりよくなかった。
「そんなの、無理に決まっています……」
「なんで?」
私の大切な物を奪うことが生き甲斐になっている妹は、そんな当たり前のことすらわからず無邪気に私へ問いかける。
私に拒絶されるわけがないと、本気で思っている証拠だ。
「お姉が、あの人を好きだから?」
今までずっと言えなかったのは、あの子が怖いからだった。
何をされるかわからない。
誰も助けてくれないと絶望して、抵抗すらも止めてしまった。
「ああ、ありがとう」
そう言うことだと納得すれば、陽日さんが常連客にコーヒーを提供してこちらに戻ってきた。
彼女は先程までの作り笑顔が嘘のように目頭を釣り上げると、普段と変わらぬ口調で宣言する。
「お姉に香月はもったいないから、あたしにちょうだい!」
ーー天使のふりをした悪魔は、私の愛するべき人を欲した。
彼は人形ではない。
意思のある人間だ。
私が許可を出したところで、関宮先輩にその気がなければ妹の所有物にはならない。
そんな当たり前なことすらわからぬほどに。彼女は残念ながら、頭の出来があまりよくなかった。
「そんなの、無理に決まっています……」
「なんで?」
私の大切な物を奪うことが生き甲斐になっている妹は、そんな当たり前のことすらわからず無邪気に私へ問いかける。
私に拒絶されるわけがないと、本気で思っている証拠だ。
「お姉が、あの人を好きだから?」
今までずっと言えなかったのは、あの子が怖いからだった。
何をされるかわからない。
誰も助けてくれないと絶望して、抵抗すらも止めてしまった。