一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「ま、待ってください! 陽日さんが……!」
関宮先輩の胸元を叩きながら妹も助けてくれと懇願したが……。
すぐさまその必要はなかったのだと、外に出てから気づいた。
「ど、どうしよう……」
店の前で、陽日さんがへたり込んでいたからだ。
「よ、よかった……」
足が竦んで動けずにいた間に、一足早く彼女は自力で正面玄関から外に出ていたらしい。
私が彼の腕の中でほっと一息つけば、安全を確認した彼が抱きしめる腕の力を強めた。
「それ、こっちの台詞だから……」
普段余裕綽々な様子を見せる関宮先輩にも、今回ばかりは焦りの色が声音に滲んでいる。
ーーこうした時、なんて声をかければいいのだろう?
助けてくださり、ありがとうございました?
関宮先輩は、私のヒーローです?
どれもしっくりこなくて。
じっと黙っていれば、耳元で関宮先輩の押し殺した低い声が囁かれた。
「星奈さんがいなくなったら、どうしようかと思った……」
ーー私の無事を喜んでくれる人がいるなんて、思っていなかったから。
その言葉が、何よりも嬉しくて。
関宮先輩の胸元を叩きながら妹も助けてくれと懇願したが……。
すぐさまその必要はなかったのだと、外に出てから気づいた。
「ど、どうしよう……」
店の前で、陽日さんがへたり込んでいたからだ。
「よ、よかった……」
足が竦んで動けずにいた間に、一足早く彼女は自力で正面玄関から外に出ていたらしい。
私が彼の腕の中でほっと一息つけば、安全を確認した彼が抱きしめる腕の力を強めた。
「それ、こっちの台詞だから……」
普段余裕綽々な様子を見せる関宮先輩にも、今回ばかりは焦りの色が声音に滲んでいる。
ーーこうした時、なんて声をかければいいのだろう?
助けてくださり、ありがとうございました?
関宮先輩は、私のヒーローです?
どれもしっくりこなくて。
じっと黙っていれば、耳元で関宮先輩の押し殺した低い声が囁かれた。
「星奈さんがいなくなったら、どうしようかと思った……」
ーー私の無事を喜んでくれる人がいるなんて、思っていなかったから。
その言葉が、何よりも嬉しくて。