一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
 私は口元を綻ばせながら、関宮先輩に告げた。

「いなくならないですよ」

 その言葉を耳にした彼が驚いたように、勢いよく顔を上げる。
 関宮先輩の瞳は、真意を探るように揺れていた。

「関宮先輩が私を必要としてくださる限り、そばにいたいです」
「星奈さん……」

 嬉しそうに瞳を細めた彼の目にも、涙が滲む。
 関宮先輩にとっては、喉から手が出るほどに待ち望んだ状況だからだろう。

「それって、告白? 期待しても……いい?」

 ーー長い間待たせてしまった分だけ、たくさんの物を返したい。

 声に出してそうだと告げるのが、恥ずかしくて。こくんと頷けば、ゆっくりと唇同士が触れ合いそうな距離まで、顔が近づいていく。

 このまま、ファーストキス……。
 するの、かな……?

 期待を込めた私は目を瞑り、じっとその時を待った。

「小隊ちょ……!」

 けたたましいサイレンの音とともに、バタバタと複数人の足音が聞こえたかと思えば。

 関宮さんに声をかける、男性の声が聞こえてきた。
 その声音には、聞き覚えがある。
 私達はその方向を見つめーー。
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