一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「陽日ちゃん、大丈夫?」
「大変だったね」
「み、みんな……!」

 それを渋っていると、あの子の周りに近隣住民が集まり声をかけている姿を見捉える。

 瞳から大粒の涙を溢して顔見知りの男性に抱きつく元気があるあたり、私の存在などすっかり頭から消えているのかもしれない。

「あんな奴のことなんて、心配するだけ損だよ」

 その光景を目にした私は、関宮先輩の言葉に反論できずーー小さく頷くと、彼とともに帰路に着いた。

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