一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
ーー私は関宮先輩に、迷惑をかけてばかりだ。
離れなきゃいけない。
好きな人が被ったら、あの子に譲るべきなのに。
彼は私を離さないし、私も関宮先輩だけは、自分だけのものにしたかった。
ーーこれは利害の一致と言うことで、いいのだろうか……?
彼に好意のある素振りを見せてしまった手前、恥ずかしすぎて関宮先輩の顔をよく見れなかった。
「こっち向いて」
「い、嫌です……」
「どうして?」
「酷い顔を、しているので……」
「星奈さんは、いつだってかわいいよ。怒った顔、泣いてる時の顔。不機嫌そうな顔も……」
彼は俯いていた私の頬を両手で掴むと、目線を合わせるため強引に動かした。
「これからは全部、俺だけのものだね」
関宮先輩は満足そうに口元を緩めると、顔全体にキスの雨が降ってきた。
額、頬、鼻、耳元ーー。
どうして唇には触れてくれないのかと懇願してしまいたくなる気持ちをぐっと堪え、私は顔を真っ赤にしながらじっと耐え続ける。