一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「香月先輩は、意地悪です……」
「そうだよ。俺は独占欲が強いから。星奈さんを甘やかして、俺なしでいられなくしたいんだ」

 そんなこと、笑顔で言うような話ではない。

 私は好きになってはいけない人を愛してしまったのではと怯えながらも、彼の身体から両手を離した。

「星奈さん、引いてるでしょ」
「関宮先輩を好きになったこと、後悔しました」
「また戻っちゃった。ねぇ、いつまで名字で呼ぶつもり?」

 関宮先輩から指摘を受けるのは、何度目だろう。

 今までずっと、素面では呼びたくても口にできなかった名前。
 妹に取られたくない一心で、唇から紡ぎ出すのには成功したけれど。
 面と向かっては恥ずかしくて。
 ずっと、言葉にできなかったのだ。

「ちゃんと、わかってる? 星奈さんも、これから関宮になるんだよ」

 ――彼を好きになったら、妹に奪われてしまう。
 それがずっと恐ろしくて。
 関宮先輩に想いを打ち明けられなかったけれど……。

 彼と気持ちを通じ合わせたのであれば、結婚するのは当然の成り行きとも言える。

 ーー私、関宮先輩の妻になるんだ……。
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