一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「終わりよければ、すべてよしって。よく言うでしょ」
「香月先輩……」

 どんなに嫌なことがあっても。
 最後は優しく受け入れて、甘やかしてくれる彼が好きだ。

 ずっと一緒にいたい。
 私にたくさんの愛を注いでほしい。

 そんな想いが、溢れて止まらない。

 ーーもっと早くに、想いを伝えていればよかった。

 今まで関宮先輩を必死に遠ざけてきが自分が、馬鹿みたいに思えてくる。
 そんな思いを悟られぬように、私は彼へ再び想いを告げた。

「大好き、です……」

 ――私はやっと、心の底から幸せだと胸を張って言えるような環境を手に入れた。

「やっと素直になってくれたね」

 彼は待てを上手にできた犬を褒めるように私の頭部を優しく撫でつけると、改めて問いかける。

「俺の妻に、なってくれるよね?」

 自信たっぷりにプロポーズをしてきた香月先輩は、私の唇から紡がれる言葉を待ち望んでいた。

 ーー7年も待たせて、ごめんなさい。

 彼に対する申し訳ないと思う強い罪悪感は。
 これから夫婦として暮らす生活の中で、徐々に取り除いていけばいいのだ。

 肩の力を抜いて。
 妹に怯えることなく、私は宇多見 星奈の人生を取り戻す。

「はい」

 そう覚悟を決めた私は彼の手を取り、関宮 星奈になった――。
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