一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
 そんな妹を哀れに思ったのだろう。
 彼は冷たく言い放つ。

「誰もが喉から手が出るほど欲しがる女は、他人をそんな風に批判しないよ」

 誰もが羨む美貌を手にして生まれた陽日さんは、中身が醜く歪んでいた。

「あたしにはもう、何もないのに……!」
「陽日さん……」

 香月先輩の口から指摘を受けた事実に愕然とした彼女は、悔しそうに歯ぎしりをしながら。痛ましい視線を送る姉に、ターゲットを変更した。

「どうしてあんたはイケメンで収入の安定してる男と結婚できて、あたしは誰にも好かれないのよ!?」
「あんたが星奈さんにしてきたことが、全部自分に返ってきただけでしょ」

 夫として、妹に心ない言葉を投げかけられる私を黙って見ているなど許せなかったのだろう。
 香月先輩は当然のように、私を庇った。
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